《障害理解のために》

2001年5月15日 (火)

注意欠陥多動性障害(AD/HD)について

『注意欠陥多動性障害(AD/HD)』という障害があります。いつも目まぐるしく動き回り、心配になるほど落ち着きがない。そんな子どもが増えています。今回はこの障害について少し触れてみたいと思います。
 一口に多動といってもそのタイプ、原因も様々です。
落ち着きがなく気が散りやすい以外には大した問題を抱えていない子。
周りの環境が非常に関係している子(生活が不規則・情緒が不安定になる要因がある家庭環境など)。
精神発達に多少遅れのある子(そのために実年齢より少し落ち着きがない)。
自閉症の子(特に幼児期に多動傾向がある)。
環 境を変えることで因子がなくなる事もありますが、生まれつきの発達障害や、脳障害が原因と言われる事もあります。日常生活に支障をきたしたり、周りの人達 に困惑をもたらすほどの問題を抱える場合も少なくありません。よく、大きくなると、学習障害になると言われますが、多動症=学習障害ではありません。多動 の子は、自閉症などと同じく成長がアンバランスな為このように思われがちですが、その数は半数程度です。いずれにせよ、この子達の殆どが小学校の高学年頃 には、症状は落ち着いてきます。大切なのは、その間、周りの大人がどのようにその子に接していくかという事だと思います。多動の子は多動である部分より、 その為に自分自身に自信がもてずに消極的になったり、自暴自棄になるという二次的な障害の方が、はるかに重要だからです。まずはこの子達の良いところを見 つけて誉めてあげて下さい。何か皆の役に立つ仕事を持たせ、自信を持たせるのも良いと思います。小学校低学年は、特に、多動傾向が強く精神も未熟なので、 トラブルも多いと思いますが、社会でのルールなどは気長に繰り返し繰り返し教え、あまり執拗に叱責する事などはないように心がけたいものです。
多動児は、昔からいました。そして、その後成長し、社会的に成功を収めている人達も大勢います。どの子にとっても、大切なのは、周りの大人たちがどのようにその子に接していくかではないでしょうか。
子どもの育成には、大人の影響が大きなものです。大人ひとりひとりが大きな責任を自覚していければ良いなあと感じます。

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2001年4月 1日 (日)

小児自閉症について

 皆さん小児自閉症ってご存知ですか?
 この子ども達はとても普通に見えますが、抱える問題は大きなものです。
大変誤解されやすいことですが、自閉症は『引きこもり』ではありません。脳にほんの少しの異常があり、人とのコミュニケーションの正しい取り方がわからないのです。

  ・言葉を話さない。
  ・目をあわさない。
  ・同じ質問を何度もする。
  ・ひとつの事にこだわる。

 この子達は時々とても奇妙な行動を取ります。そして、どうして怒られるのか、どうして自分の行動をさえぎられるのかわからないので、パニックになりやすいのです。
 皆さん、たった一人で、習慣も言葉も全く違う外国に取り残されたと想像してみて下さい。どんなに心細く、不安な事でしょう。常に神経を尖らせて、そして些細なことでパニックになるに違いありません。自閉症の子ども達は毎日がそのような状態なのではないでしょうか。
 でも、忘れないで。この子達はみんな、皆さんとの触れ合いを心待ちにしています。どうぞこの子達と友達になってください。

 とはいえ、少しコツがいるのです。この子達への声かけは、沢山の説明ややさしい言い回しよりも、具体的に、単語を切って明瞭にお願いします。そして、悪 い事を注意する場合も、出来る限り否定文ではなく肯定文で。叱るときは本当に怖い顔で、笑うときは楽しい顔で接してください。

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2000年3月 1日 (水)

就学前親子教室『M学級』の先生方へ。

 息子が『M学級』に通うようになって、もう2年と数ヶ月。その間に新たに参加されたお母さん方と知り合う度に、あの頃の私自身の姿を見る思いがします。
  日に何度も起こる息子のパニック。我が子でありながら思うように意思の疎通が果たせないもどかしさ。息子の睡眠障害、まだ小さかった娘の夜泣きの為に満足 に眠れない毎日。母親である私が何とかしなければという脅迫めいた気持ちと、でも一体何をどうしたらよいのかわからない焦りで、周りの事も自分の事も満足 に見えない状態。『M学級』に初めて行った日の私は、幾人かのお母さんと同じように、追い詰められたような暗い顔をしていたに違いありません。そして回を 重ねる度、やはり他のお母さん方と同じく、心にゆとりを取り戻していきました。
 『M学級』は、勿論、息子にとって大変よい療育であったと思いま す。でも、一番すくわれたのは私自身です。息子の事のみならず、その他の相談にも気軽に耳を傾けてくださる先生方。障害はそれぞれ違っても、親身になって くれる仲間との出会い。子どもを客観的に見つめなおす時間。専門の先生方を招いた勉強会。地域と密着した情報の交換(障害のある子を受け入れてくれる理髪 店・歯科等)。ちょっとした息抜きのような会話を交わせる事も、気分をリフレッシュさせてくれ、子ども達にも心からの笑顔を向けることが出来るようになり ました。また先生方の、息子との係わり合いを見ているうちに、自分の思い込みに気づき、子どもの為と考えていた私の行動の幾つかが、子どもの成長の妨げに なる場合もあるのだと反省させられる事もありました。以前、私は心の隅で息子を「可哀相な子」「手のかかる子」と思っていたような気がします。でも、今 は、毎日の不安やパニックを乗り越えながら、6年間懸命に生きてきた彼を誇りに思います。この気持ちも、M学級の先生方や、お母さん方からいただいた大切 なもののひとつです。
 4月になると息子も小学生です。今までとはまた違った意味での心配や不安が私の中にあります。でも、あの頃のように、「私 が何とかしなければ」といういう焦りはありません。息子を取り巻く皆様方が、私と共に彼を育ててくれる。彼の拙い力で築いた人間関係が彼を成長させてい く。その中で私自身も成長していくだろう事が、『M学級』での経験でわかるからです。
 『M学級』を終了した後も、できる事なら、先生方/お母さん方の力になり、息子と同様に、他の子ども達の成長を手助けできればと考えています。
 これからも、様々な問題が持ち上がると思います。でも、トンネルには出口があるもの。曲がりくねったトンネルは、なかなか光が見えず投げ出したくなりますが、案外出口は近いのかも、なんて、呑気に構えながら、息切れしないように進んでいこうと思います。
 皆様、今まで本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。

    県在宅心身障害児療育訓練事業『M学級』終了時の活動取りまとめ冊子への寄稿

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